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妊婦の歯周病と早産・低体重児出関連とオーラルケアの重要性

投稿日:2020年9月14日

カテゴリ:スタッフブログ

妊婦の歯周病と早産・低体重児出関連とオーラルケアの重要性

●はじめに

「早産」は妊娠24週目以降、37週未満の出産のことであり、「低体重児出産」は体重2500g未満の出生児のことです。

OffenbacherSetal. JPeriodontol 1996の研究

妊婦における早期低体重児出産の危険率1996年にOffenbacherらが妊娠、あるいは出産後三日以内の産婦に歯周病の検査を行ったところ、口腔内の60%以上にある基準以上の歯周病がみられた妊婦は早産、あるいは低体重児出産に対する危険率が7.5倍高ったことを報告しています。

動物実験ではあるが歯周病細菌であるFusobacterium necrophorumやPorphyromonas gingivalisを用いた歯周病モデルにおいてそれらの細菌の胎盤や胎児への感染が認められ、胎児の体重減少や死産などが起こることも報告されています。

メカニズム

正期産以前(妊娠37週未満)に歯周病菌に感染すると、炎症性サイトカインが過剰に分泌されることが原因とみられています。炎症性サイトカインは炎症を促進する細胞間物質で炎症部分から血管にも入り込む。妊娠中に炎症サイトカインの血中濃度が高くなるとそれが「出血の開始の合図」のもなり、陣痛や子宮筋の収縮などがおこると考えられています。

妊婦の口腔内

妊娠性歯肉炎

妊娠中の女性はエストロゲンの分泌量が10~30倍に増加します。Prevotella intermediaは女性ホルモンが発育素であるため、女性の思春期や妊娠時に歯周局所で爆発的に増加、歯周炎を起こします。また、血管の透過性が高まり、唾液の粘性が高まって、口腔の自浄性が低下することで歯肉の炎症や出血が起こりやすくなります。

妊娠性エプーリス

歯肉部に生じた良性の限局性腫瘤。好発部位は上顎の口腔前庭部、歯間乳頭部。発症原因はう蝕、歯石、歯列不正などの局所刺激が誘因となることに加え、亢進した女性ホルモンの歯周組織代謝系および脈管系などに及ぼす影響が発症・増大に関与するとされています。

妊婦期のオーラルケアについて

妊娠初期(0~3か月)

妊娠初期妊娠により、女性ホルモンが増えることで口腔内の状態は大きく変化します。口腔内を正常に保つ唾液の分泌が低下し、トラブルになりやすい時期です。

妊娠中でも治療は受けられますが、初期はつわりがひどいため、トラブルにならない様に、十分に気をつけることやむし歯予防に効果的なフッ素配合歯磨き剤がおすすめです。

つわりがひどい時のオーラルケア

つわりがひどい時のオーラルケア① 一日のうち体調のよい時間に歯磨きをリラックスして行いましょう。

② 歯磨きの時は、下の方を向いて前かがみの体勢になり、歯ブラシを舌に当てないようにすると嘔吐感を避けやすいので歯ブラシは小刻みに動かします。

③ 歯磨き剤は、香料や味の強いものは避けましょう。

④ コンパクトヘッドのやわらかめの歯ブラシを使用しましょう。

つわりで嘔吐後の歯磨きの使用について

嘔吐した直前はうがいを充分にして、口腔内の胃液などの残留を洗い流しておく。

嘔吐直前の歯磨剤使用の歯磨きは歯の摩耗を引き起こし、酸蝕症となる危険があるため、約30分は歯磨きを控えるのが望ましいです。

妊娠中期(4~7か月)

妊娠中期(4~7か月)一度に「食べられる量」が減少傾向、空腹状態が多くなり、間食などの「食べる回数」が増えやすい時期です。

妊娠中は唾液の量が減り、自浄作用が弱まるため、食後の歯磨きによるケアや、歯磨きの基本を再確認してリスクを減らすことが重要。この時期は、体調も比較的安定しているため、歯科治療はこの時期が適しています。

妊娠後期(8~10か月)

出産後の準備や日々の仕事や家事で忙しくなり、歯磨きをおろそかにしてしまいがちな時期です。出産後のオーラルケアの注意点として、う蝕原因菌は家族、特に母親の唾液を介して子供に伝播する。母親の口腔内環境が子供の口腔内に影響することの説明が重要です。

妊娠中の歯科治療の注意点

サンプルイメージ① 水平位が大丈夫か聞くこと、 倒しすぎず、膝を曲げるなど楽な体勢をとります。

② 腰痛への配慮 クッション、ひざ掛けの用意。

③ 頻尿の配慮

④ 妊娠後期のチェアーポジションは仰臥位低血圧症候群の防止に努める。歯科診療中に貧血や冷や汗をかいている場合、すみやかに左を下にして横向き寝かせることが重要です。
※仰臥位(ぎょうがい)/背中を下にして寝た姿勢のこと。仰向けの状態。

まとめ

今回第63回春季日本歯周病学会学術大会歯科衛生士教育講演「妊婦に対する歯科診療のポイント」滝川雅之先生の講演を参考に制作しました。

Offenbacherらの研究では歯周病の妊婦は早産、低体重児出産のリスクが7倍にも跳ね上がる事実や歯周病よる妊娠糖尿病、妊娠高血圧、不妊症との関連があることを知り、どれだけオーラルケアが重要視されているかを知ることができました。

また妊産婦期の母体は肉体面だけでなく、心理的社会的にも変化があり、精神的にも不安定になることから、妊婦に対する歯科衛生士としての配慮、信頼、コミュニケーションが必要であることを学びました。以上学んだことを明日からの診療に生かせるよう努めていきたいです。

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